下の記事の内容は「こんなリモートワークは嫌だ」という内容だが、似たような話を今月初めに相談を受けた。
原因は管理者か社員か、両方か
「リモートワークになってからスピード感がない」という話だ。最近のビジネスはスピード感が要求される。これに関しては私も異存はないし、むしろ同じ考えである。
ビジネスのスピード感には、情報スピード、決断のスピード、行動のスピードがある。電話をもらったA社によると、社員から管理者への報告・連絡は早くなったが、社員に指示を出してから行動に反映するのが遅くなったとのことだった。
管理者が判断するスピードは変わらないとすると、指示を出すスピード、社員が指示を確認し理解するスピード、行動に移すスピードのいずれにかに問題があることになる。
原因は簡単なことだった。管理者が指示を出すための入力スピードが遅いのと、指示内容が要点だけで短いテキスト分なので社員が理解できず時間がかかっていたのだった。原因は管理者にあった。
そこで管理者からの指示は音声録音で送ること、指示内容は相手によって内容の密度を変えること、受け取った社員はすぐにテキストで返答を返すこと、たったこれだけのことだ。
音声録音の方法を覚えてもらうだけでスピード感は上がったという。社員も管理者の指示に質問しずらかったらしいし、管理者は社員がわかっているかどうか顔色を伺えなかったらしい。
雑談の中にアイデアあり、なのだが
B社では雑談専用のチャットがある。目的は雑談の中にアイデアや情報の芽があるということらしい。リモートワークを行う前は社内で、「アレはどうなった?」「急いでやれ!」「今日の予定はどうなっている?」などと口頭での情報交換があった。
スケジュール管理は比較的しっかりしている会社なのだが、スケジュールに記入する前の情報やスケジュールを確認するより聞いた方が早いという長年の習慣・慣習があった。この習慣・慣習を雑談チャットで行うと、しっちゃかめっちゃかな状態になった。
かといって、雑談用、問い合わせ用、アイデア用、掲示板用、回覧用と分けるのも面倒だ。そこで雑談チャットに「雑)問)ア)掲)回)」をチャットの先頭につけてもらうようにした。こちらもたったこれだけのことで雑談チャットは今でも継続して使っているそうだ。
雑談は急がない用件がほとんどなので重要性・緊急性は低いが、必ずしも不要だとは限らない。以前は雑談に参加できなかった社員も少しずつ参加するようになり、いつの間にか忘れられていたアイデアも記録として残るようになったという。
リモートワークにはリモートワークのルールが必要
長年の習慣・慣習は明文化されていないことが多い。リモートワーク用のルールを作ったところで長年の習慣・慣習という体に染みついた感覚がなくなることはない。
ほんの少しだけ使い方を変えたり、付け加えたりすることでリモートワークでも十分に話が伝わる。話が伝わっていないと思ったら直接話すことだってできる。話してはいけないということではない。
対面で仕事をする場合とリモートワークでは距離感の違いが障害になるように思うかもしれないが、実際には時間差のほうが気になるのだろう。時間差をどのように埋めるかはそれぞれの会社で適した方法があるので工夫することだ。
私としては部外者なので雑談チャットには参加したくないし、社内の報連相のようにチャットやメッセージ、電話コールで相談を受けても即座には対応できない。急ぎでない場合はメールでお願いしている。
ただ「力関係」で電話も受けざるを得ないのがちょっと悲しい・・。

